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2月21日 その男、マークにつき… 今日も佐藤たまきさんが車でティレルまで送ってくれる。ティレルへの誘導路はかなり細い二車線で、90°くるっと車を右折させて入るのだけれど、そのせいでこの誘導路の入り口は冬場にはスリップしやすくなる(カナダだからもちろん道はがりんがりんに凍っている)。そういうわけで職員の中にもここで車をすべらせ180度回転をやってしまう人がいるみたいだ(誰とは言わないけど笑)。前日にお好み焼きをつくったので佐藤さんにもさしあげる。味には自信がないけれど具だけはとにかくたくさんいれたし生地には山芋までいれたから、まあ合格点だろうと思ったのだ。なかなかおいしく食べていただいたようで嬉しかった。
1.エドモントサウルスの恥骨 昨日つくった型がきちんと凝固したので、ひっくり返してジャケットを外し、裏側のクリーニングをする。やり方の手順は昨日とほとんど同じだ。昨日の作業のせいかどうかは知らないけれど、新しい割れ目が2,3本増えていた。裏側の表面にはかなり頑固な母岩がくっついていて、これは1日かかっても始末できなかった。裏面の4分の3までをアクリロイドでコーティングして今日の作業はおしまい。昨日と同じことをずっとくり返すという単純作業だったけれどけっこう肩が凝る。ずっと金属の柄を握っていたので中指のペンだこができるちょうど上辺りの皮がむけて、これは結構痛い。しかたないからペーパータオルをぐるぐる巻き付けて作業を続けた。ダレンとレーナ(ラボのテクニシャン)が僕の仕事を「すごく早い」といってほめてくれる(僕にとってはあまりほめ言葉ではないけれど)。でもまあ僕は朝から晩まで2度のブレークとランチを別にすればずっと骨に向かっているのだから当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。ただ手先が少し荒っぽかったせいか母岩を取り除くときに骨の表面を引っかいて小さな傷を無数につくってしまった。許容範囲かどうかはわからないけど、これはちょっと反省しなきゃいけない。真ん中の割れ目はいくらアクリロイドを注射してもしっかりくっついてはくれなかった。 ダレンによると僕が今クリーニングしているのは恥骨中部、腸骨との関節部周辺で、今日クリーニングした面が内側面(つまり昨日クリーニングしたのは外側面)だそうだ。化石の表面の色がところどころ薄い黄土色に変わっているが、これは草の根が化石の鉱物質を吸収してしまった結果らしい。 2.アルバートサウルスの歯 何度も水で湿らせてから歯の周りを引っかいて溝を作っていく。時々刃先がすべって歯にあたるのでひやっとする。溝をだいぶ深くしたところで真ん中辺りの割れ目の接着がとれて歯が折れてしまった。もういちどアクリロイドでくっつける。これが固まってからもういちど溝を掘り始め、ようやく歯を母岩から取り出した。歯の表面にもかなり母岩がくっついているので、次はこれを取り除く。ただこの歯は3カ所で折れて接着してあるので、下手な持ち方をすると折れてしまう。母岩はエドモントサウルスよりもちょっとやわらかいぐらいで、けっこう手間取った。だいぶ気を使ったつもりなんだけど途中でまた先端部分の割れ目が開いてぽっきり折れてしまった。これをアクリロイドでくっつけてまたエドモントサウルスの作業に戻る。 プレパ・ラボの中で最も寡黙なのがマークである。彼は今おそろしいスピードで角竜の標本をクリーニングしているけれど、プレパ・ラボのメンバーのおしゃべりにまきこまれてもただ静かににこにこ笑っている。あまりしゃべらない。あまりラボの世間話にも加わらない。職人タイプの人である。展示室のビデオに出演しているプレパレーターというのはずばり彼だけど、きっとラボのメンバーが嫌がる本人をむりやり出演させたに違いない(笑)。収録もたいへんだったと思うけど、情景が目に浮かんでしまってどちらかというと僕は笑ってしまう(笑)。 |